一番最初に作ったオリジナルプリント

まだ、木綿のプリントもあまり作られていない頃のお話です。京都の染工場で何かプリントするものがあれば、作ってあげますという、うれしい話をもらい、さて、何をプリントしてもらおうかと考えました。機械でプリントするのでしたら、ロットが大きくなって、とても、ちょっと作ってみるなんて事できないのですが、友人の知り合いでしたので本当に少ないロットでプリントしていただきました。
(機械でのプリントはスクリーンプリントでも最低ロット1800mくらいでしょうか)

京都の着物の型をそめていたところで、渋紙の切り型が、ずいぶん昔のものから保存されていたのを印象深く覚えています。手捺染といって、型を作って、手作業でプリントするスクリーンプリントです。

それで、結局その由緒ある染工場で作ってもらったのが、あろうことか「市松人形」の表、裏のプリントなんです。「市松人形」ってご存知でしょうか。おかっぱ頭の日本に昔からある人形です。当時(30年くらい前です)内藤ルネさんというコレクターがいらっしゃって、ジュモーの人形なんかのコレクションを拝見してたのですが、とても高価で、手が届かないので、「市松人形」の本体のみを大阪の松屋町で手にいれて、古い着物をほどいて(今でいうところの古布です)おすわりのできる「市松人形」を作って喜んでいたわけで、普通の人から見ると、ちょっと変わった人間だった様です。

話が横道にそれましたが、要は、その「市松人形」の表側と裏側をイラストにして、生成りの生地をベースにプリントしてもらったわけです。ちょうどアンとアンディなんかでも、切りぬいたら、人形になるという状態のものです。これは、自分で言うのもなんですが、すごくかわいかったです。一枚でもっとっとけばよかったのですが、残念ながらSOLDOUTです。